#たのしいね

ボードゲーム作家2人が、日頃の楽しかったことばかりを書いておくので、何かの参考にしていただければ幸いです。ボードゲームの話題は「#ボードゲームたのしいね」に書きます。

【ミュージアム】レッツでんぐりでんぐり『ミラクルエッシャー展』上野の森美術館

f:id:tokyonakayoshi:20180622191641j:plain

だまし絵で有名なエッシャーの作品が観られるエキシビジョン。

上野の森美術館で2018年6月6日~7月29日まで開催中!

 

冒頭の画像は、チケット売り場の横に貼られていた図案。
鏡面になった球を覗き込みながら描いたとされる自画像です。

エッシャーが自分を描いた数少ない作品のうちのひとつであり、当時の彼が暮らしていた部屋の様子がわかるのも面白いですね。

ソファがあって、テーブルがあって、窓があって、壁には本が。
本棚の下の壁に飾られているのは、ワヤンの絵でしょうか。

 

さてさてあなたは、エッシャーって聞いて、どんなことを思い出しますか?

わたしが思い出すのはね、あの、階段が右や左や上や下からぐるぐるするような、モノクロのイラスト。

あるいは、上階から注がれる水の流れを目で追うと、再び最初の位置に戻っちゃってるようなイラスト。みたいなのを思い出します。

ほかのことはぜんぜん知らなかった。

そういうわけでエッシャー展のことをこのブログを書きながら、おさらいしてみることにします。

 

まずは名前。
フルネームはマウリッツ・エッシャーというんだそうです。

そしてざっくりとした肩書としては、エッシャーはオランダの版画家!
私はすでにもうここから知らなかったです。

だまし絵とかトリックアート的なポップさがまずイメージにあったから、そんなポップな人は、なんとなく、アメリカの人かと思っていた。

そういえば、描かれた部屋の壁にワヤンの絵が飾られていましたよね。
ワヤンはインドネシアのジャワ島に伝わる伝統芸能に登場する人形です。

ワヤン人形は、平面だったり、立体だったりします。
たいていは体から足の方向に伸びた棒が持ち手になっていて、腕には関節があるので動くようになっています。
エッシャーのワヤンは額に入れて飾られているような感じなので、ワヤンを描いた絵か、影絵用の平たい人形かもしれないですね。

エッシャーが生きた20世紀前半当時のインドネシアは、オランダの植民地!
ながらくオランダ領東インドという扱いでした。

なるほどなるほど、絵を飾るのも物珍しさからたまたまというよりは、地理的に縁が深かったんですね。

 

f:id:tokyonakayoshi:20180623000838j:plain

別の図案も観てみましょう!

この写真は会場である上野の森美術館の壁面で、同じ図案がポスターやチケットにも使われています。

どっちが上でどっちが下なのか分かんなくなりますよね。
エッシャーオブエッシャーって感じの作品です。

 

私はこういうエッシャーの作品をみてなんとなく、中世ヨーロッパを感じてました。
そこそこ古い作品なのかなと。

実際は中世じゃなくて割と最近の人でした。

エッシャーは19世紀末に生まれ、ほとんどの人生を20世紀に生きた人でした。しかも1972年まで生きてたんだって。作品が少年マガジンの表紙に使われたこともあるらしい。ぜんぜん最近じゃん~~~。

中世ヨーロッパを感じた原因のひとつ、なんとなく活版印刷みたいな雰囲気は、エッシャーの得意とした版画の技法に由来するものでした!

 

版画。と書いてしまっていますが、いろいろありますよね、版画。
木版画、銅版画、リトグラフ。

エッシャーは凸版の技法でも凹版の技法でも数多くの作品を残しています。
数は少ないけど、より手間のかかるカラーの作品も。

そうやって、版画の技法はおおよそなんでもやっていた人なんだそうです。

木版画とか銅版画って、同じ版画でも技術はぜんぜん別物だろうなって気がするので、すごいなって思いました。

 

エッシャーの美術のキャリアは、父親の職業であった建築の修行とややグラデーションになっていて、50歳くらいまで実家と義実家の援助を受けながら暮らしていたとか。
いろいろ複雑な気持ちになりますね。

 

会場で見られたのは、代表的なだまし絵的なもの以外にもたくさんありました。

おそらくはキュビズムとかそのころのムーブメントの影響も大いに受けての幾何学的で複雑な図形モチーフなどを描く一方で、昆虫の緻密なスケッチシリーズにも挑戦していたり、作風の幅広さについても知ることができました。

ローマの古い都市やアマルフィ海岸の風景を写実的に描いたスケッチや、アルハンブラ宮殿のモザイク壁画など旅行先で触れたものに着想を得ていたり。

特に戦中戦後にはメッセージ性を押し出していそうな作品を手がけていたりするのはちょっと意外でした。

 

会場内は写真が撮れませんでしたので、あとはぜひ現地でご覧になってください。

あとは会場だけで聴ける音声ガイド、声の担当はバカリズムさんでした。
なかなかレアな仕事ではないかと思われるので、そちらを合わせて借りるのもおすすめです。

 

f:id:tokyonakayoshi:20180618234849j:plain
特に心に残ったのはでんぐりでんぐりです、なかよし。