これはなに?
特攻隊の訓練中に終戦を迎えたアーティストのキャリアをまとめたエキシビジョン。
現在も現役で制作中なので、現在形。
練馬区立美術館で2018年4月26日~6月17日まで開催中。
どんなもの?
戦争が終わってから絵を描き始めた作家さんで、絵画作品が多いのだけれども、シュールレアリスムの影響を大いに受けていそうな作風の傍らで、グラビア写真等の模写や挿絵、絵本の仕事もはさみつつ、年代を追っていくとコラージュの技法や絵に限らない立体作品、そしてインスタレーションなども手がけている。
近年はより幾何学的、思想的な表現を込めた大型の絵画作品に力を入れているように見受けられた。
ちなみに看板やポスター、チケットにあしらわれているセピア色の抽象的な絵はいずれも1960年頃の比較的初期の作品でした。すごく印象的な画風ですよね。キャリアを通じてダークな色彩のものは多いようでしたが、セピアなモノトーンなものだけでなく、カラフルなものもたくさんありました。
撮影できない企画展でしたので、写真は看板のやつしか撮ってないです。
たのしいね!
池田龍雄は、早くから英才教育を受けて画家になったわけではなかったようで、戦争や就職での挫折を経てから芸術を志ざしたということで、画風の研究、実践や、意識的な使い分けをすごく感じました。
初期の作品は、分類としてはシュールレアリスムということだろうと思うんですけれども、こんなに丁寧で几帳面なキュビズムもあるんだなって感じたんですよね。ピカソ後に何十年も経ってからのキュビズムだから、もはや技法として確立されたものがあったのかな、とか、そういったことを考えました。そのあとはぜんぜんキュビズムにこだわってない作品に興味が移ったようだし。
あとは、作品に添えられた署名が初期からずっと「tatuo」だったのに最近になって「龍」になってるぽいのを発見して面白かったです。
ちょっと絵画以外の活動しているうちに気分が変わったのかな…?とか思いました。真相は知りません!
練馬区立美術館とか武蔵野市立吉祥寺美術館とかでは、こういったひとりの作者のキャリアにスポットの当たる企画がよくあって、興味深いです。
特に今回みたいにキャリアが相当に長く現在も活動中な作家さんの、おそらく本人主催の個展ではなくて美術館による企画展というのは、あんまり来たことがなかったように思います。忘れてるだけかな?
ミュージアムは好きなのだけれどもてんで教養がないので、こうやってまとめられた企画展に行くたびに、ひとり、またひとりと作家さんの名前に見覚えができてきます。
というわけで例によって、知ってて見に来たのではなく、知らないけど見に来てみた、という鑑賞活動でしたが、たのしかったです。
この記事を書いたのは、なかよし。