これはなに?
ギレルモ・デル・トロ監督の人魚姫的なおとぎ話ムービー。
いやほんとはなんとご説明差し上げるのが適当なのか、ちょっとよくわかっておりません。
これは、音楽と手話の映画でもあるし、映画の映画でもある。
偏見や差別を描いているし、愛と友情の物語でもある。
人権の問題であり、障害者の生活でもある。
画業と、同性愛と、社会がある。
冷戦があり、人々がいる。
そして、猫も出る。
どんなもの?
まずは予告編をどうぞ。
物語の舞台は、いまよりもちょっと昔、冷戦くらいのころのアメリカ。
たぶんCIA的な研究所にて。南米から持ちこまれたという謎の研究対象が運び込まれたのを目撃した、掃除係のイライザは…?
この物語のメインロールであるイライザは、映画館の上階にあるアパートで暮らしている。夜勤なので、日が暮れてから起き、湯船を使い、ゆで卵をおやつに、職場へ向かう。耳は聴こえるけれども、声が出せないので、話をするときは手話を使う。音楽が好きで、ミュージカルのテレビも好きで、すこしタップが踊れる。
隣人は画家のジャイルズ。同僚のゼルダ。まともな白人上司ストリックランド。
そこへやってきた、言葉をもたぬ水棲の彼。
たのしいね!
シェイプ・オブ・ウォーター。
直訳すれば「水の形」というタイトルを冠せられているこの映画。しかし水には決まった形なんかないのです。
あなたが、誰に移入するか。
あるいは何を物語と捉えるか。
それによってこの映画は幾重にも顔を変えることでしょう。
感想はひとつだけかも知れないし、いくつも重なった複雑なものになるかも知れない。
切ないかも知れないし、温かいかも知れない。
泣けるかも知れないし、笑うかも知れない。
喜ぶかも知れないし、腹を立てるかも知れない。
美しいかも知れないし、醜いかも知れない。
扇情的かも知れないし、幼稚かも知れない。
希望かもしれないし、絶望かも知れない。
受け取るものはどれでもいいので、わかりやすいわけではない。間違いなく言えることは、この作品が、それだけ豊かであるということです。
とにかくすごくすごく、豊かな映画です。
映画館で見る映画大好き、なかよし。