たのしいね、

好きなものぜんぶ書く。

『キングオブコント2017』の感想、ぜんぶ。

f:id:tokyonakayoshi:20171002131846j:plain
キングオブコント2017番組公式サイトより

 

これはなに?

1年に一回?
コントのキングを決めるお笑いのテレビ。

テレビのお笑い番組とか、ましてや、たまの賞レース。私は熱心に追いかけられているほうではないのですが。

大好きなジャングルポケットが出るし、スケジュール的にもちょうど観れそうだったので、観てみることにしました。

 

どんなもの?

3時間番組のキングオブコント。最初から最後までしっかり観たのは今回が初めてです。全体的に面白かったです。

誰が優勝したとか誰が何点取って何位だった、みたいなことは調べればすぐ分かるしここでこまかに描写してもしょーがないので、というかそんなに詳しく覚えてもいないので、観たコントとその感想を書きます。見出し置いとくから、好きなところ読んでね。

 

たのしいね!

1-1 わらふぢなるお

インターネット回線のサポートセンターのコント

ふぢわらさんが投げやりなコールセンタースタッフの役で、そこに電話を掛けたなるおさんがツッコんだり翻弄されたりする。

2人は電話でやりとりしてるという設定なので、最初は音声のやりとりで分かるようなふざけ方をするんだけれど、中盤「お客さんには観えてるけれど設定上ツッコミ役には観えてないボケ」も入れてくる。ヘッドセットのマイクをおでこに挟んだりとか。終盤にいたっては、なるおさんの様子が、お客さんだけでなく、コールセンターからも観えているのでは?というボケになる。

こういのもメタ視点っていうんでしょうか。ポイントオブビューがガツンガツンと切り変わっていく面白さっていう部分で、新しさや挑戦があったと思う。好き。

一方で、ツッコミの人の設定上の状況と同様に、観ているお客さんにも「え、これはこの人がこの人を見えてるってことでいいの?」という迷いが生じてしまったように思う。

設定の前提が変化してくる構造はおもしろみなんだけど、悪く言えばそこが複雑さになってしまっていて。スムーズな笑いを引き出すにはすこし、ハードルになってしまったようにも見えた。そのせいでオチのあとあじも、ふわっとしたとらえどころのない印象にさせてしまったと思う。

 

1-2 ジャングルポケット

高層ビルのエレベーターのコント

斎藤さんは商談に遅刻しそうだから早く上に行きたい。そこに駆け込んできた女装のおたけさんと、そのおたけさんを追いかけてきた太田さんの間の別れ話に巻き込まれてしまう。

上に行きかけてはボタンを押されてドアが開いてしまうアクションも面白いし、自らドアを明けてしまうほど気になる内容で段階的に叫ばれるプロポーズやカミングアウトも面白い。斎藤さんが大声で合いの手を入れるのも、観ていて気分がいい。

私は好きなんだけど、1回戦はギリギリ通過ラインの得点だった。審査員の「エレベーターの間が悪かった」というコメントはウケ狙いにも観えたけれど、勢いや決め台詞など、笑わせどころが明確な分、他の部分を削ったりはっきりと間を置いたり、磨き上げていく部分の余地が確かにまだたくさんあるのかもしれない。

粗さ雑さもまた、勢いを感じさせるためのスパイスといえなくもない気がするので、研ぎ澄ますべきところそうでないところの吟味は慎重にしてほしいと思うし、なんならとにかくこのまま積み重ねていってくれるのも全然かまわないと思う。

 

1-3 かまいたち

公園でクラスメートを見かけて様子を伺うコント

 公園のベンチに座っている山内さんを、濱家さんが発見する。告白された練習、告白の後にベンチで語らう練習…と様々な練習を重ねていく山内さん。物陰から盗み見る濱家さんがツッコミを繰り返す。

ラストのオチとしては、盗み見がバレているのか、それともまだ練習の続きなのか、というテンションの上げ方。サスペンスとカタルシスがある。

滑稽さにも度合いがあって、エスカレートしていくうちにゆるさを逸脱した緊張へと切り替わっていく、その緊張のピークでちゃんと安心させるところがきれいだった。

私としては、山内さんの目がもともとマジな感じなので、見る前から気分の落ち着け方がわかりにくいところがある。その点このコントでは、メガネを掛けた真面目演出からのスタートで、マジさがそのまま活きるスリルに昇華していたのがよかったと思う。

 

1-4 アンガールズ

ビーチでナンパを試みるコント

ふたりでビーチに来ていた田中さんと山根さん。ナンパの成果?もあがり満足して帰ろうとすると、田中のカバンがない。水着しかなくなってしまった田中に山根は、予備の着替えやカバンで身を隠すコーディネートを模索する。仕上がりが気に入った田中は、もう一度ナンパに挑戦する、というのがオチ。

コント一筋18年というテロップが出るのだが、あんまりコントのイメージはなかった。アンガールズはどんな設定でも結局のところアンガールズの山根と田中のキャラでやっている感じ。面白いし安定感もあるが、挑戦や新しさは見当たりにくいなと思う。漫才との差もよくわからない。でもいまのところオンリーワンという感じだし、それでいいんだと思う。

個人的には、人の見た目や体格といった個性や属性で笑いを取ろうとする表現は、そろそろ流行らなくなるんじゃないかなと思う。ひょろながい身体を優れたものに見せる方法をはやく思いついて欲しい。

 

1-5 パーパー

卒業式のコント

ほしのさんが、学ランのボタンを貰ってもらえない独白。そこへ呼び出しに来る山田さん。山田がボタンを欲しがってくれていると思って喜ぶほしのだったが、山田の狙いは斎藤くんだった。憤るほしのは、交換条件として山田にキスを要求する。断られて要求をエスカレートさせるほしの。

結局、キスの夢が叶わないどころか、将来の同窓会にも来ないでくれと捨て台詞を吐かれるほど山田に嫌われるほしのがオチ。

パーパーのお二人は今回初めて拝見したので、本人たちの普段をよく知らないのだけれど、いろいろともったいなさを感じる仕上がりだった。ネタの選択を誤ったか、それともほしのさんの採点後のコメントのようにコンディションがすごく悪かったということもありそうではあった。決勝戦まで来ているのだから何かもっとあったはず。

若いとはえ、細かい部分の荒さが導入を妨げていたのがやはり残念に思う。例えば冒頭の独白の部分からまず、語りかけているのがお客さんなのか架空の男友達相手だったのか、わざわざその状況に戻ってくる最後になっても不透明なまま。

一般的には学園という舞台設定からはドラマやストーリーを期待するし、モテないキャラを登場させるならそこで観たいのはモテないキャラに訪れる更なる不幸または救済だろう。かまいたちがやって見せたように、モテないやつがモテない故の言動をしっかり描写していくのもありだろう。そのどれもが得られなかったように思う。

ほしのくんがモテなさを押し出すなら、山田さんを対比でとにかく可愛くするとかモテモテにするとか、せめて普通の人として描くことも必要だったかもしれない。山田さんは希望が通らず逆ギレするだけのヤな女だし、ほしのくんの言動もどちらを向いているかわからないのでは、どちらにも移入しにくい。かといってどちらにも移入できないことが面白いような描写でもなかったし。

個人的には別に、上手に笑わせて欲しいとは思わない。私の方からも笑いに行けるので。それより何を見せたいか、何をやりたいかをわかりやすくしてもらえたらありがたいと思う。

 

1-6 さらば青春の光

居酒屋の客と店員のコント

森田さんが客で、東さんが店員。誤って運ばれたおいしそうなメニューをどんどん追加で頼んでしまう。やがて運んできたメニューを今度は他のテーブルに経由させて、他のテーブルからのオーダーも集める…というドタバタ。

これおもしろかったな~!

メインのアイデアは「できたての実物を見せるライブ感でお客の注文を引き出す」ということだけで、その見せ方を変化させながら、段階的なエスカレートとお会計へのストーリーまでつなげていくので、観ていて迷うところがないです。コンパクトに予定調和させるオチもすごくよかったと思う。

もーとにかくあの居酒屋に行ってみたくなっちゃったもんね。

 

1-7 にゃんこスター

なわとびのコント

おもしろかった。

いつかどこかで自分で観て欲しいので、内容の解説はしません。
まあテレビなどで、すぐにたくさん観られるのでは!

 

1-8 アキナ

アルバイト仲間のコント。

休憩時間に、言葉を交わすふたり。秋山さんとちょっと不思議な言動を繰り返す山名さん。エピソードがいくつかあって、いよいよ秋山さんは山名さんと距離を取ろうとするが。仲直りしてからの不思議なやりとりで、ダメ押しする。

BGMもよく聴いていて、おもしろかった。出演順でいちばん割りを食った出場者を上げるなら、今回はアキナだと皆が言うだろう。私もそう思う。

とはいえ、好意的な点数をつけた審査員も言っていたように、優勝するなら、もっと何かないとダメなんだろうなというのも分かるところはある。

サスペンスが高まっていって、一度ゆるめてからのダメ押しで笑いを取るには、さいごの一振りが小ぶりすぎたように思う。もっとエスカレートさせるか、すべての謎が解けるようなカタルシスがあれば印象はぜんぜんちがったものになっただろう。

でもそこがいい意味での持ち味だと感じているお客さんも多そうだから、単純にこうすればいいという答えはなさそうだ。実際私も、あんな感じはすごく好き。

今回はにゃんこスターの後という出演順が目立ってしまったけれど、サスペンス系の盛り上がり方から別の落とし方をしたかまいたちのほうが、正当なライバルだったような気もした。コンテストなので発生してしまう勝敗の部分には、どうしても時の運なところが大きいなあと思う。

 

1-9 GAG少年団

3人の幼馴染のコント

あだち充の『タッチ』のような3人の幼馴染の…というこの導入にもはや挑戦があることは、彼らもよくご存知なのだろうと思う。さしずめ宮戸さんが南ちゃん、坂本さんが和也、福井さんが達也だろうか。タッチからの引用のようでいて、あの小屋が経ってから50年後ということだから多分60歳くらいの3人という設定。そんな逸脱はもはや引用というより自ら築いたハードルですらあるように感じられた。ちょっと~、むちゃ、じゃ、ない?

60歳くらいなのに主軸として描かれるのはタッチよろしくの恋愛模様。でも3人はそれぞれ立派な肩書を持っているし、共通の趣味は俳句で、ケンカはしても明日の仕事に響くと行けないから手は出さない。定年前のゆとりある暮らしぶりなような、老人ステレオタイプのような、しかし核となるのは非現実的な恋愛模様。

しっかり安定した雰囲気と、メイクなど丁寧な下準備。そこにリアリティーやイメージやドラマが散りばめられて、アンバランスに仕上がっている。
そいうところが彼らのコントの魅力ではありそうだった。

わかりやすさが常に好ましいとは思わないが、今回のような賞レースでは、見せたい、笑わせたいポイントがしぼれなくなってしまっているように感じた。魅力は感じたし笑いたかったが、どういう角度で笑えばいいのかという芯を掴みにくい感じがあって、そこがもったいなく感じた。

 

1-10 ゾフィー

父親と息子のコント

息子役の上田さんが帰ってくると、家には母親の姿がない。父親役のサイトウさんに母親が出ていったことを告げられ、息子は憤る。しかしその理由は、お母さんがいないとご飯が食べられないことだった。

このコント、あとで不快感とか賛否両論とか言われそうだな~と思いながら観てしまって、あまり素直に笑えなかった。すごくよくできてたし、おもしろかったんだけど。

お母さん=メシを作る人、と考える息子のことがオカシイと思って素直に笑えるのは、性役割なんて話をしなくて済むようになったあとになってからだ。審査員が述べていたように "「お母さん=メシ」があまりにひどく感じて笑えなかった" なんて思っているうちは、まだまだ社会一般のスタンダードが変化の途中だってことだろう。

これを素直に笑える社会のほうが成熟しているのだろうと思ったので、私もまだまだだなと思う。

もしサイトウさんが外で働くお母さんの役で、いつもメシを作ってくれるお父さんが出ていった話だったら、何も気づかなかったかも知れない。その配役でもまだまだ笑いが取れる文化水準なのかも知れない。まあわかんないけど。

でもほんと高校生くらいの男子って、メシのことばっかり考えてるもんなあ。極端ではあるけど、そんなに突飛な感じには思わないんだよなあ息子。

ワンアイデアを息子がエスカレートさせていって、父親役が観客の思っていそうなことを最後の最後で口にする流れはすごくきれいだったし、研ぎ澄まされている厚みを感じた。決勝戦に持ってきたのはあえての戦略があったのだろうけれど、観ているほうがその水準まで届かなかったのかも、とも思わされた。

ぜひ他のネタも観てみたいです。

 

2-1 アンガールズ

元カノの旦那とストーカーのコント

会社帰りの山根さんの前に、田中さんが現れる。田中は山根の妻に10年前の二股されていた相手だという。山根の妻に付きまとったらストーカーになってしまうと考えた田中は、山根につきまとうことにしたのだ、という話。

たぶんキャストが違ったら同じことをやっても決定的な部分で味が変わるだろうから、やっぱりアンガールズは何をやっていてもアンガールズなのだれど、それはもうしょうがないよね。本人の体型ではなくキャラクターを押し出している構成で、18年の熟練をより感じさせるいいコントだったと思う。

それにしても特に山根は田中より頭も小さくて、シルエットだけなら等身がすごい。スーツだとかっこよく見えちゃうね~。

 

2-2 ジャングルポケット

敵の組織に捕らえられた男のコント

敵組織のアジトに捕らえられた男、斎藤さん。銃を向ける太田さん。腕組みで指示を出す幹部風の男おたけさん。

敵組織の取引の情報を引き出すために、太田は斎藤をロッカーに叩きつけ、銃を顔に突きつけて脅す。すこししてそれを静止するおたけ。

繰り返すうちに、殺すぞと脅されることよりロッカーに叩きつけられることのほうが痛くてつらいと大声を出す斎藤。

意図のよくわからない派手な脅し方や、動きと声のダイナミックさが面白いコント。ジャングルポケットらしいといっていいと思う。好き。

ただこれも、んー、ジャングルポケットらしさだと思うんだけど。やっぱり細かい所の洗練にもう一工夫あるように思わされる。特に、斎藤さんが中盤で白状してしまう組織の秘密。この秘密の内容で、このコントの設定の背景がほぼ決まる部分なのに、内容がなんだかガチ過ぎる。そんなにガチなら、こんな生ぬるいやり取りも最初から発生しなくない?って思っちゃう。だからオチもふんわりして見えちゃう。

もっと、ボスの好きなケーキの種類とか、せっかくのカミングアウトで散らかりすぎない程度に笑いを取りに行って、背景やオチまでの道を整えてくれてもよかったのではという気がした。

でもまあ細けえことはいんだ。すごくおもしろかった!

 

2-3 さらば青春の光

パワースポットの警備員のコント

行列ができるほど人気のパワースポットにやってきた東さん。あまりに混んでいるので、そこに立つ警備員の森田さんに、様子を尋ねる。自分が務め始めた10年前からすでに大人気だという話を聞いて、東はパワースポットの効果に疑問を持つ。

と、書いてしまうとこういうことなのだが、面白いところに気がつくのにはややハードルがある。

この疑問を実際に口にしてくれるのは終盤なので、気を抜いていると中盤で何を言おうとしているのかわからないままぼやっと過ごすことになってしまうのだ。

警備員の身の上を聴けば、自業自得な部分もあって笑いも出なくはないのだが、構造的に「不幸な職業としての警備員」「効果がないことが明確なパワースポットにならぶ人たち」などを前提として尊重していないため、なんだかヒヤヒヤしてしまうところがあった。

オチに救済があるわけではないし、最後はパワースポットの岩をどうしたかったのかもふわっとしてしまって、さびしい感じにになってしまったように思う。

 

2-4 かまいたち

ダイビングスーツ屋の客と店員のコント

濱家さんが店員で、山内さんがお客。試着したダイビングスーツが脱げなくなっているのを、なんとか脱がそうとする。それしかないけど、それだけですごく笑えるコント。

本店への電話報告という形で、置かれている状況がはっきりとナレーションされるのですごく親切。そこまでしなくてもよさそうなくらい、そもそもサイズが合わなかったくだりとか、それをどうしてここまで着てしまったのかといった状況を、無理なく丁寧に説明してくれる。しかもそれが笑いどころになっている。完成度がすごい。セリフも面白いし、動きも面白い。

さらに目を剥くのが、ボケとツッコミの役割が逆転しているところ。キャストがコントの内容を決めたのではなく、内容によってキャストを収めた感じがする。

個人的な、山内さんの目のマジさが気になってしまう問題は、今回は「初めからキレている客」という設定によりクリアされていた。キレてる人は目がマジだよね。だからまったく気にならない。私が思う以上に本人たちにも自覚があるのかもしれないし、それを弱みには感じていないのかもしれないなと思った。

すごくよかった!

ただ唯一、幾度となく叩きつけられて笑いを誘った山内さんの膝の皿のことは、私はホントにちょっと心配になってます(笑)

 

2-5 にゃんこスター

フラフープのコント

おもしろかった。

私見ですが、私はそもそもあらゆるジャンルの区分というのに弱いので。

お笑いにしてもいまキングオブコメディという番組の話だからコントなんだなと思っていますが、アンガールズの項目でも述べたようにコントと漫才の区別がいまいちよく分かっていません。

だからこれはコントなんだな、と思って、にゃんこスターも眺めていました。そういった感じでいわゆる「コントの枠」を知らずにぼやっとしてても、新しさを覚えたことはすごいことだと思う。

1回戦目の出演前に、VTRの煽りがやや過剰気味だったのはすこし気の毒だったが、たしかに他とは異なるものだなと思う。

結成5ヶ月とかが売りになるのって単純にほんとに期間の短さだけで、語られがちなフレッシュさは本質的な意味で伝わることがまったくないのだけれども、にゃんこスターのコントにはそういうことを感じた。作法を知らないがゆえの、はつらつとしたステージだ。しかも旧来のものを侮っているわけではない。ただやりたいようにやってみた形だと思う。

2回戦の演目でほとんど同じことを繰り返すのも、すごい勇気だし、挑戦だと感じた。

全コントの中でいちばん印象に残った。
実際、2回ともすごく笑ったな~。

 

 

3-0 総評

いちばん好きだったのは、ジャングルポケットのエレベーターのコント。

いちばん笑ったのは、かまいたちのダイビングスーツのコント。

いちばん心に残ったのは、にゃんこスター。

 

f:id:tokyonakayoshi:20170926224630j:plain

あーおもしろかったね、なかよし