これは何?
傑作協力ゲーム『パンデミック』のダイスゲーム版、『完全治療』です。
すこしボードゲームを遊ぶ人には原題の「ザ・キュア」のほうが通りが良いかも知れないですね。このゲームのこと「かんぜんちりょう」って呼んでる人あんまり聞かないもんね。
どんなもの?
プレイヤーは、アメリカの疫病対策研究機関CDCの一員として、世界に蔓延しようとする4つの病原菌から人類を救うべくがんばります。
世界地図ボードの代わりに、サイコロの目が割り当てられた6つのエリアがフィールドになります。病原菌の種類はサイコロの色で表されます。
所定の手番数を終えるか病気が世界に蔓延しきる前に、すべて色の病原菌のワクチンを開発できたら、プレイヤー全員の勝ち。ワクチンが開発できないうちに病気が広がってしまったらプレイヤー全員の負け。です。
オリジナル版と同じように、プレイヤーには役職が割り当てられ、それぞれの役職に応じて専用のサイコロのセットを持ちます。これがすごいリッチな作りだなって思う。
例えば私こと衛生兵は、みんな共通で行える「移動」「治療」「研究」の中で特に治療が得意なので、サイコロの目に含まれる「治療」のアイコンの数が他の人より多くなっています。そういう風にサイコロの目が全員分で違うんですよ。スゲー。
よく見ると病気のサイコロにも、治療に役立つ十字マークの面があり、目が偏っていることがわかります。つまり普通のサイコロはひとつも使われていないんですよ、このゲーム。ただリッチなわけではなく、これによって特定の地域に現れやすい病気、現れにくい病気の演出がなされているわけです。スゲーーー。
たのしいね!
「パンデミック」は、それなりにシビアなバランスのゲーム。
誰かの手番を1つでも無駄にしちゃうってことは、みんなの敗北に確実に一歩近づく行為なのね。だからみんなで相談しながら最善手を考えるし、それでもうまく行かないことも多々ある。
ゲームのクリア目標は、全4種類の伝染病すべてのワクチン開発に成功すること。
そのためには、病原菌をサンプルとして収集して、同じ種類の病気のサイコロを振ってね。出目の合計が13を超えたら、その病気のワクチンの開発に成功!っていう扱いになるの。13未満だったら失敗。それを4種類分繰り返す。
プレイヤーはワクチンの開発に取り組む一方で、どんどん広がっていく病気の治療にも当たり続けなければいけない。そうやってワクチン開発のための時間を稼ぐのです。
病気のサンプルを保持するためには自分のサイコロが必要なのね。サンプルをたくさん抱えるってことは、研究の成功率を高めるけど、その分、自分の行動を制限してしまうのね。だってアクションサイコロの数が、自分の行動可能数だから。サイコロの数だけ、移動と治療が行えます。
さて。
この日は、私、衛生兵。
治療は誰よりも得意!
だけど研究は苦手だったみたい。
サイコロ3個で2回も失敗しちゃったせいで、世界の未来に暗雲が立ち込め始めたよ。
そしたらまことさんが、自分のサイコロを犠牲にしてさらにサンプル2個を私のところに送り込んでくれた。
オレンジが私の。
ちょっとわかりづらいけど右の2個のピンクが、まことさんのサイコロだよ。
こんなふうにね、自分のアクションサイコロを使って人にサンプルを渡せるんだよ。とっても協力ゲームだね!
さあ、これで私がいっぺんに振れるワクチン開発のためのサイコロは5個になったよ。
5個で合計13を出せばいいんだよ?
チョロいよね!
まあこのあとね、5個でも失敗しちゃったんだけどね!!
みたいな。
ダイスゲームならではのドラマが高次元で展開する、たのしいゲームです。
オリジナル版の、世界を股にかけて飛び回ってる感じとか、ちょっとした地理のネタはすっかりなくなっていますが、それを補って魅力余りあるダイス版。やることはしっかりパンデミックなので、オリジナルファンにももちのろんろん、おすすめです。
ちなみに私がずっとダイス目を失敗している間、他のプレイヤーたちは他の病気のワクチンの開発を終えて。勢いを増して世界中を覆いつつある病気と、瀬戸際の攻防を繰り広げていましたよ。
最終手番で衛生兵もなんとか治療に成功して、世界を救うことができました。
よかったよかった。よかった?
ホビージャパンさん!
EXPERIMENTAL MEDS の日本語版もお待ちしております!
なかよし。