東京都写真美術館のコレクション展。
「たのしむ、まなぶ」が2018年のテーマ。
この「イントゥザピクチャーズ」と題してまとめられたエキシビジョンでは、美術館で作品を鑑賞する姿勢について、改めて考えてみようという体験ができます。
ふつう、美術館で絵や写真が飾られている場合、作品のタイトル、作者、製作年、製作技法、所有者などのキャプションが記されたパネルが、作品のそばに当たり前に添えられているものですよね。
場合によってはすこしの解説文が添えられていたりして。来場者である私達は、それを観ながら、ふんふん、となる。多くの場合、作品より、そのキャプションを読みながら、「制作裏話や~」とか、「ほー国宝!」、「なるほど誰がいつ作ったのね」みたいなのを考えている時間のほうが長かったりするかも知れない。
この「イントゥザピクチャーズ」では、そんなキャプションがありません。
作品に添えられているのは作品番号だけ!
そしてブロックごとに掲げられている、問いかけ。
例を示すために、冒頭の画像に戻ってみましょう。
これは、一部を拡大したところ。
実際に展示されている作品のひとつです。
「どこで撮られた写真ですか?」
「誰が写っていますか?」
「人物が観ている方向には何があると思いますか?」
もし詳しいキャプションが添えられていたら、いちいちそんなこと考えなさそうなことばかりかも知れませんよね。
問いかけは他にもあります。
「テーブルの上には何が乗っていますか?」
「この人は何をしているところだと思いますか?」
「この部屋には、他にどんな人がいるでしょうか?」
そんなふうに考えていくと、1枚の写真ひとつに込められた情報量の多さに改めて気が付きます。写っているものだけでなく、写っていないものにも思いを馳せる事ができるものだな~と、なんだか感心してしまいませんか?
ちなみにこの写真に写っているボーダーシャツの老人は、ピカソ!
もちろんあの有名な、パブロ・ピカソです。
フランスの写真家、ドアノーが撮った、「ピカソのパン」というタイトルの作品です。
だんだん面白くなってくるでしょ?
ぜひ会場で、ゆったりした気持ちで味わってみてね。
入り口で目録がもらえる、番号以上のことを知りたければそれを観ながら鑑賞することもできますよ。
「イントゥザピクチャーズ」は、2018年の5/12~8/5まで。
8/11から、同じテーマで「夢のかけら」という内容に切り替わるようです。
ミュージアムはどこも涼しいから夏向きと思う、なかよし。