これはなに?
『モノクロなかよしプロダクツ』とは
このブログを運営しているなかよしさんが主催する創作サークル「東京なかよしデザイン」が立ち上げたサブブランド、という設定です。
ロゴ表記のなかよしがナカヨシになっているのは単に間違えただけですけど、別にどっちが正解でも構いません。
今日はこの「モノクロなかよしプロダクツ」のなりたち、そしてこれまでとこれからについて、朝まで語ろうと思います。眠い人は寝てください。私もそうします。
どんなもの?
かんがえた
「モノクロなかよしプロダクツ」は、「東京なかよしデザイン」において「アイデアを形にする」ことを最重要ミッションに掲げて活動します。
「アイデアを形にする」とは「世に出すこと」です。
「世に出すこと」についてもいろいろなグラデーションがあるかと思いますが、「モノクロなかよしプロダクツ」にとっては、具体的には「イベントで頒布する」ということなどに結実します。
なぜ「イベントで頒布する」ことにこだわるのかっていうと、けっこうたいへんなんですよ、イベントに出るのも、ゲーム作るのも。
いや好きでやってるんですけど、好きでやってるんで、続けたいんですよね。
「イベントで頒布するたいへんさ」について説明しようと思って書き始めたら超長くなってめんどくさくなってきてしまったので全部割愛。ぎゅぎゅっとポイ!
ここでは「夏休みの宿題を計画的になるべく完璧にやり終える」くらいの大変さを、例に示しておきますね。でもそれってやっぱむっちゃ大変だよな!!!
話を戻します。
とにかく毎回、たいへんなことをフルにやって、やり続ける自信はあんまり持てていなかったので。
サークル3年目を終える頃に、ちょっとこれまでの負担を見直して、そろそろ継続可能性について考えていかねばと思っていました。
イベント出展自体をなくしまっては本末転倒ですし、部分部分を減らそうと思っても「申し込み」や「当日行くこと」は割愛できません。となると、軽減できるのは制作面での負担だけです。
さいわい私は、作品制作におけるアイデア的な部分では特に困ったことがないので、というのも作っちゃうから作ってるので、検討すべき負担というのはほとんどが実制作の部分です。主に、経済コストと時間コストに分かれます。
経済コスト
経済的な負担はとにかく、印刷原価ですね。ゲームの印刷って、やっぱお金かかるんですよ。
代表的なのはカードですよね。1種類のチラシを100枚刷る、というのが普通の印刷屋さんの注文方法なんですけど。例えばトランプのカードって54種類あるんですよね。普通の注文方法でトランプを作ろうと思ったら、1セット作るだけでも、54回分の注文しなきゃいけないわけですよ。料金も54倍ですよ。まあカードは100セット分、手に入りますけどね、チラシみたいなペラペラの紙ってわけにもいきませんし。
まあ中身はできました。できたとしよう。そしたら次はパッケージ。
オリジナルの箱がほしいと思ったら。箱屋さんに頼まなきゃいけません。デパートの和菓子屋さんとかで自分で詰め合わせを作ろうとして、箱代が別途掛かるような経験をしたことがある人もいるんじゃないでしょうか。商業規模の数で作っても1箱200円とか掛かるものを、個人規模の少数生産で作ったら…そうです、割高です。
ボードは?駒は?サイコロは?
ね、線路は続くよどこまでも。基本的には作り手のこだわりで際限なく膨らんでしまうものなので、歯止めがあるなら効かせたいわけです。ゆずれるところは。
時間コスト
時間コストとは主に、データの準備に掛かる作業時間です。
印刷屋さんにお願いするために渡すデータ制作っていうのも、なかなか手間がかかるんですよ。どういったらいいんでしょう。例えば学級新聞!みたいなものを作ったことないですか。発表用の模造紙!でもいいです。ポスター!なんかだとかなりいいですね。
夏休みの宿題を例に出したので、絵日記!くらいにしておきましょうか。
絵日記をパソコンで作ります。ファイルはページごとに分けて、別途表紙も付けてね。9/1が〆切だから、8/31の24時までにデータを揃えて入稿してください。ただし特急料金がかかるので、それが嫌なら7営業日前までにおねがいね。
実際は、ゲーム一式の印刷だと納期が1ヶ月以上は必要だったりしますけどね。
すべてを解決するもの
2016年の秋。
イベント当日の一週間前に思いついたゲームがありまして、手順を検討したら当日に間に合うな、ということで、本当に間に合わせて頒布した、という出来事がありました。
具体的には、月曜日に思いついて、火曜日に試し、水曜日にデータを起こして、木曜日に発注、金曜日に受け取って、土曜日に袋詰して、日曜日に発売、みたいな感じ。
この奇跡を解決したのが、モノクロ名刺印刷です。納期を優先するので角丸オプションも付けない。早い。しかも安い。経済コストの問題をクリアです。
モノクロ印刷を選んだ理由は他にもあって、ちんたら作業する時間がなかったのです。モノクロでもグレースケール内での調整はとうぜん必要ですが、フルカラーの中から色味の選択と調整を繰り返すよりは、断然らくちんですからね。
間に合うわけ無いから、箱なんか用意できっこありません。
こちとら同人作品やぞ、チャック袋上等や~と、そこは開き直って。
気がつけば、願ったり叶ったり!
従来制作とは比べ物にならないほどつらくない、経済コストも時間コストも軽減された制作手段が実践されてしまいました。唐突な確立です。私がロマサガのキャラクターだったら、頭に!が表示されていたことでしょう。
とはいえ従来のお客さんに「コスト削減を最優先しましたよ」という違いが分かるようしなければ。よ~し、サブブランドということにしておこう。大事にするのはアイデアだよ。チャレンジだよ。モノクロだよ。チープだよ。わかってね。
こうして『モノクロなかよしプロダクツ』は、最初の作品が世に出たあとに始まりました。
たのしいね!
これまで
「アイデアを形にする」とは、自分にとって新しいこと、挑戦でありたいと考えています。ひとつの作品「モノクロなかよしプロダクツ」がこれまで世に送り出した作品についてご紹介します。
安く作ったら安くで売れるからさ。500円で世に出す。すごいことよ。
500円なら、掛かる期待もそんなに大きくはならないだろうし。すこしくらい失敗してもいいでしょ?なんなら失敗するのも面白いでしょ?
失敗してもいいんだって思えないとさ、挑戦できないからさ。それってすごくいいことだと思っています。チャレンジは冒険だよ。冒険はたのしいよ。
『ぺんぱ!』(2016秋)
場札とつながる手札を順番に出していくゲームで、先に手札がなくなった人が勝ち。イージーなゲームに見えますが、カード構成がシンプルなので本気でやるとプレイヤー同士の圧力がすごいことになります。すぐ締め付け合いになっちゃう。勝った人が罰ゲームみたいな目に合うがとってもチャーミングではないですか。
この作品で達成されたチャレンジは、なんといっても「スピード」です。
ねればねるほどおいしくなると考えがちな、ねるね系クリエイターにとって、もっとも苦手なことといったら「制作スピードを求められること」ではないでしょうか。
この「ぺんぱ!」、3分くらいで思いつき、3日くらいで完成品が手元に揃いました。
奇しくも、同じネタゲーなのに着想から発売まで1年掛かってしまった『おのののののか』と同日に発売することになったのはもはや、運命的な何かがあるよね~。
私はどこか完璧主義寄りなところもあり、〆切がなければいくらでもこだわっちゃうし、思いついたネタをいくらでも寝かしちゃうタイプのゲーム作家なので、「ぺんぱ!」は、「あ、これでいいんじゃん」って変な自信が持てた、思い入れある作品です。
『国際桃太郎会議』(2017春初出、秋リニューアル)
プレイヤーは、西暦3000年の考古学者となって、失われた物語「桃太郎」について議論します。キャラクターの役割についての仮説を述べたり、仮説に合う論文を発表したりして集めた得点を競います。
この作品で取り組んだチャレンジは「廉価化」です。
1年半ほど前にイラスト素材などすべて揃えておきながら、想定される作業負担に踏み込めず、世に出せていなかったゲームだったので、どうにか形にしようというのが最初の挑戦でした。
この作品、例えばイラストだけみても、キャラクターがシチュエーション別に10パターンあるんですよ。アイコンとかも別にありますし。そのため、頒布価格500円という値段を先に決めることで、とことんスリムにし、作業もそれに合わせて制限して、仕上げました。
結果的に「複雑化」も招いてしまったので、次のイベントに合わせてリニューアルを行うことになりましたが。ねるねる作家はブラッシュアップが好物ですから、自分としては特に問題はないです。
もともとフルプライスで作る予定だったので、物語が二重になっているなど、ゲーム外の設定などもたいへんリッチでボリューミー。
『御社と弊社』(2017秋) NEW!!
プレイヤーは営業担当として案件を持ち寄ります。自社向き案件を集めたら勝ち、他社向き案件を集めてしまったら負け。社会人ごっこでたのしむ、シンプルパーティーゲームです。
この作品でのチャレンジしたのは「知っている世に出す事」です。
これまで「元ネタ」とかあんまり考えたことないんですよ。でもさ、やらなきゃなって。分析とか?で、思いついたゲームが、これまた別のゲームに似てて。これはいい機会だなって。
というのも、こういうゲームづくりの趣味を続ける以上、他のゲームをパクっちゃうことっていつか起こるだろうなと思うんですよ。交通事故みたいなもので。だってカードをつかったりボードを使ったりしてる時点で、先人のアイデアを利用してるわけでしょ。完全なオリジナルなんて無理だから。再生産していくしかないじゃないですか。
モノマネを指摘されて、「元ネタ知らないです~」って言い訳するようなことになったら、むちゃんこ恥ずかしいと思うので。いつかやるなら、意図的にやりたかった。なるべく「ただのパクりじゃない」と自分が思える内容で。
そういうわけで今回、堂々と宣言して意図的にやってみた感じです。
くわしくはメイキング的小話も読んでね。
『ワンニャンチュウ』(テスト版 - 2014秋)
これは番外編って感じ。
イヌとネコとネズミが、ご家庭の覇権を懸けて生存競争を繰り広げます。
思えばこれも、500円に納めるフォーマットでつくったので、モノクロなかよしプロダクツ作品ナンバー0って感じだなと思いました。
達成したミッションは、「手描きイラスト、カラー印刷、角丸、シンプルで奥深い、初心者やお子様でも楽しくあそべる、ちゃんとしたゲーム」です。偉大だ~。
これから
半年ごとのイベントに合わせて、「東京なかよしデザイン」として毎回1作出していたのに比べると、「モノクロなかよしプロダクツ」でしかやらなかった2017年はやはり楽でした。
アイデアで振り切ると決めたら、最低限の負担で形にできのが、とってもいいよね。今後もなるべく毎回1作はモノクロ印刷、ワンコイン価格に収まるようなフォーマットをミッションに、「モノクロなかよしプロダクツ」な発表を続けていこうかなと思っています。
そこで評価されたものや、そもそもそんなチープなフォーマットに収まらない手が込んだものを、「東京なかよしデザイン」で出すのかなって感じで、います。
それからゲーム以外の制作物もね。さいきんやってないから。作りたい。ブローチとかバッグとか。
あとなかよしさんは、作りたいばっかりで満足しがちだから、もうちょっとちゃんと、宣伝したり売ったりをがんばってほしい。
それって継続可能性が広がるでしょ?
なお、「東京なかよしデザイン」及び「モノクロなかよしプロダクツ」の作品は、基本的にはイベント出展時にしかお買い求めいただけません。作品によっては委託販売されているので、気になるものがあったら、なかよしさんまで気軽にお問い合わせくださいね☺
宣伝になるかと思って書きました。なかよし