たのしいね、

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上野でタイムトラベル ― 東京藝術大学美術館 シルクロード特別展 『素心伝心』

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1949年に焼損した法隆寺の壁画、2001年に爆破されたバーミヤンの大仏の天井画、などなど。その原寸大のクローン文化財。

いま上野で、時空を超えられます。

 

これはなに?

東京藝術大学美術館で開催中の特別展です。

sosin-densin.com

どんなもの?

「クローン文化財」とその技術を紹介している展示です。

この場合に用いているクローンとは、精密な複製品であるということ。

実物ではないので、保存条件に制限されない展示や観察も可能であり、本来の場所から持ち出せますし、なにより「すでに実物が存在しないもの」をも再現できるのがなによりすごいところだとおもいます。

東京藝術大学が特許技術を考案し、高精細に再現したクローン文化財のいくつかが展示されています。もちろん原寸大で、本物との違いは「本物ではないこと」くらいなんじゃないかなって感じです。

 

たのしいね!

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入り口売り場をくぐったらドーン!
そこはもう法隆寺です。

お香が香るし、読経まで聴こえてくるので雰囲気もばっちり。

 

おそらくメインはこの真中におわします法隆寺のご本尊、の複製品。

しかし私の目は、周囲の壁に釘付けです。釘付けですよ。だってこれ黒焦げになっちゃった壁ですよ??

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原寸大でみれるチャンスなんか一生あるわけないやつです。
現場に行っても無駄です。絶対無理。だって焦げちゃってるもん。
でも今ここにくれば観られます!!!!

 

剥がれかけた漆喰ぽい質感とかすごいリアル。
法隆寺のコーナーだけでも入場料より価値があると思ったんですけど、まだこれは入り口の部屋。

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おくにまだ、ざっくり2部屋くらいあります。

そして注釈もご覧ください。
「どこからともなく聴こえてくる読経」「ラクダのお散歩が聞こえてきます」

なんなのそれ!

 あとすみません、興奮しながら片手でパシャパシャ撮ってたせいで今回の記事はピンぼけばっかりです。雰囲気だけ察してください。

 

それでね、法隆寺を過ぎると大陸のコーナーです。

たしかに謎のノイズだか息遣いだかが聞こえてきます。
きっとこれがラクダ。

そして指向性スピーカー?を動かす作動音が周期的に響いていて、絶妙にサイバーパンクでもあります。

でもこれはVRじゃない。
ARですらない。

まじでリアルな展示です。

続けます。

 

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キトラ古墳の源流となったといわれる、高句麗古墳群の壁画で囲まれた石室とか。

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東洋のヴィーナスと称される敦煌莫高窟第57窟を再現し壁画に囲まれた部屋。
ホントに現地の遺跡に日が差してるようにしか見えなくないですかこれ。

ぜんぜん知らないんだけど興奮しかない。

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この新疆ウィグル自治区キジル石窟の再現通路はほんとすごいと思った。

これ壁は第二次大戦時にドイツ軍が剥がしてもっていっちゃったから現地にないんですよ。しかもこの写真で言うと向かって右側は第二次大戦のベルリン空襲で燃えちゃって実物自体残ってない。残っていた詳細な資料からデータを起こしたそうです。

それを現地に戻したらこういう感じになります。っていう。
現場にはないし実物もない。再現するしかない。クローン文化財ならではですよね。

きっと各国の国立博物館の収蔵品は、現地に返還されたりすることもないですし、もし返還されてもこんどは現地に保存能力があるかっていう問題が出てきますもんね~。

 

それでね、今回の展示でいちばん感動したのがこれ!

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アフガニスタンのバーミヤンの大仏の頭上に描かれていた天井壁画「天翔ける太陽神」です。

2001年、過激派組織タリバンによって爆破される大仏の映像には、心を痛めた人も多くいらっしゃったと思います。あのとき、石仏周辺の史跡も一緒に失われたのはご存知だったでしょうか。この天井画も、そのとき失われた遺跡のひとつです。

シルクロードの東西が融合した仏教王国を象徴するような意匠で非常に有名でした。どういうことかというと、ギリシャ文明やゾロアスター教の神々や精霊、そして仏教を象徴する釈迦とバーミヤンの王様が、一同に描かれているのです。

異文化との融合の象徴が、後世の原理主義によって破壊されるというのはなんとも寓話的で皮肉な出来事に思われます。

 

さて、奥のスクリーンに映し出されているのは、地上約40m、大仏のあった目線の高さから撮影された4K映像です。

現場でもよく観ないと気がつかないかもしれないんですが、これ、動画なんですよ。眺めていると車が動いていたりする。季節違いで何パターンか用意されています。

すごいスケールです。

 

奥のスクリーン側から見上げると、天井画はこんな風に見えました。

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写真の手前側、左右に配置されているのは風の精。

シルクロードを渡って、日本では風神雷神図の原型になったといわれていますし、そうだろうなあと釈然とします。

バーミヤンの天井画を、こんな距離からつぶさに観察する機会は二度とないでしょう。たとえ実物が残っていたとしてもです。

なにせここは本来、大仏の頭上のスペースですから。
クローン文化財、すごいです。

 

さて帰り道。入ってきたところが出口です。

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進んでるときは気が付かなかったけど、法隆寺のご本尊のうしろ姿と、床に映し出された陰がかっこよかった。

 

チケット代の元取れ具合でいうと10倍とかじゃ効かないやつでした。
時空を飛びまくれるので超おすすめです。

会期残りわずかですが、上野に行けるひとは是非行ってください。

 

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二度と見られないものが見れた!なかよし。