たのしいね、

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おそらく人類史上、最高の宮廷画家について。 『国立西洋美術館 アルチンボルド展』

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ていうかそもそもアルチンボルドって名前なんでしょうか?
作品を見ればどこかで見覚えはあるようで、とはいえ作者も評価も全然知らなかった。

東京上野の国立西洋美術館で、2017年6月20日~9月24日まで開催中の、アルチンボルド展に行ってきた話です。

会場内は写真を撮れませんでしたので、今回は(も)文章メインになりました。
さあ行ってみよう~。

 

どんなもの?

「ジュゼッペ・アルチンボルド」は、16世紀のハプスブルグ家に仕えた宮廷画家で、寄せ絵(細かいモチーフの色や形を集めて、より大きなモチーフを表現するような絵)のジャンルで大変に有名。

希少な作品を一同に集め、人物の記録や時代背景、当時のムーブメントなどを合わせて紹介する、国内初の大規模展。

<アルチンボルド展公式サイト>

 

たのしいね!

結論から言うと、アルチンボルドはすげーやつだなって思った。

彼が歴史に名を残すほどの稀代のアーティストであることが、今回の展示でよ~くわかりました。

以前から見かけたことだけはあった、代表作であるところの四季や四大元素といった油絵作品。「藝術」や「肖像画」といった堅苦しい言葉で表すには、あまりにユーモラスで愉快。今風に言ってしまえば「デフォルメキャラクターイラスト」といった印象の絵だと思っていました。
どちらかいえばポップアート?みたいな身近な気分。

それがそもそも16世紀(1500年代初頭)に描かれた作品であるということに、まず軽く驚きましたよね。
正直なところ、なんなら近代アートだろうくらいに思っていた。名前も奇抜だし。

それが、展示を通じて背景を探るほどに。科学的視点と言ってもよいほどの確固たる観察や、モチーフの理解、そして入念な技術と詳細な筆致に裏付けられた、「ガチな油絵」であることがだんだん分かっていくのです…。

だってそもそも「皇帝」に「献上」されたような作品群ですからね…ゆるキャラ系なわけがなかったんですよ。
知る前はあんなに親しみやすかったのに!

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最も納得度が高かったところは、大航海時代もまだまだ序盤という頃に生きたアルチンボルドが、現代人レベルといってもよい博物知識の収集を、ヨーロッパの片隅にいながらにして、なぜどのようにして可能にしていたのか?ということ。

それはアルチンボルドの仕事、宮廷画家というポジションによるものでした。

なにせそんじょそこらの宮廷ではありません。アルチンボルドが使えた当時のハプスブルグ家は、ヨーロッパ諸国にとどまらず新大陸アメリカ、アジアにまで勢力を伸ばす、当時の世界でもっともパワフルな王家でした。

さらに恵まれたことには、アルチンボルドが仕えた時代の3代の皇帝のうち、マクシミリアン2世は自然科学が大好き、そしてルドルフ2世は芸術が大好き。

極端な言い方をしてしまえば、つまりアルチンボルドは「世界でもっとも知識と資料が集まる場所」で「好き放題に絵を描かせてもらえた」という類まれ過ぎるアーティストだったのです。

もちろん言うまでもなく、絵はめっちゃうまい。資料を観る限り、練習も探求もしっかりやるタイプ。レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロも生きた時代ですからね。宮廷お抱えになれるくらいなんだから、実力も人格も備わってたに決まってるんですよきっと。
で、そんな才能と努力の人アルチンボルドには、これ以上はないだろうというほど恵まれた環境が備わっていたわけです。

で、世に出たのが、例えば冒頭の写真のような寄せ絵的な肖像画ってわけですよ。

途方もないね。。。

アルチンボルドの明らかなフォロワー作品なども紹介されてはいたのですが、やはりなかなか、本家と比べると見劣りしてしまうのは、いくら技術はあっても、実物を観察できるような環境までは持てなかったということでしょう。

必然的に、寄せ絵のジャンルが芸術のメインストリームになることはなく…こうして奇才アルチンボルドは、稀代の芸術家として後世に名を残すことになったのでした(私見)。

他にも展示では、宮廷「画家」という肩書にとどまらない、アートディレクター的な仕事なども紹介されていました。王宮のイベントの衣装図案など観ても、やっぱアルチンボルドは純粋に絵がうまいんですよ。奇抜なことしなくても。ほんとすごいね。

展示の終わりの方には、宮廷からの引退後に描かれた、もっと気楽に?遊び心と才能を注いだ作品もあってすごくよかったです。

 

 

<アルチンボルド展の音声ガイドの感想>

今回の音声ガイドは、なかなかいいやつでした。

アルチンボルド役に俳優に竹中直人さん、ナレーターにラジオパーソナリティーの小川もこさん。手元の資料(もらったプログラム)によると解説件数は22件、解説時間は約35分。

そもそも人間は、竹中直人の声を聴いていられるだけでも気分良く過ごせるものです。

特に今回はアルチンボルドの作品は、細かいモチーフがたくさんひそんでいるので、注目すべきポイントを教えてくれるのがとても良かった。教えてもらえないと気づけないことばかりだった。

会場の作品と直接連動しないボーナストラックみたいなものがひとつもないのはすこし寂しく思ったが、これは別に普通のことです。その分、ひとつひとつの解説がたっぷりめで十分充実しているように感じた。

会場が混んでいたので、連作を説明するパートで、音声ガイドの進行に合わせて動けない事が多く、そのへんはすこしやきもきすることもあった。まあしょうがないよね。

いつも通り、気に入った解説をもう一回再生したりしながら、会場を2時間くらいブラブラしました。

 

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展覧会の図録や公式グッズも魅力的でした。
まだすこし会期が残ってるから、気になってる人はお早めにね!

 

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この記事を書いたのは、なかよし☺

 

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美術の窓 2017年 7 月号 [雑誌]

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